最強の武器

なんだかんだと先日の飲み会は、楽しかった。

というより、結構飲んだのでお酒で麻痺したのを楽しいと感じているような。

場所はいいとこなのに、店はチェーンの、それも学生のときに行ったかなーっていうような安い居酒屋だった。

私は何よりご飯が好きなので、ちょっと高くてもそれなりに料理が美味しいところがいい。

自炊と比べちゃいけないけど、普段のご飯に比べれば高いお金払ってまずいご飯を食べるの、悲しい。

そこはご飯美味しくないし量も少ないと店に入った時点で悟って、内心凹んだ。

予感的中、スーパーでも見ないような薄切りの牛肉とか、ビールのピッチャー、久々に見た。

モスコミュールもジントニックも、ジュースと氷の味。

それでも飲み会で機嫌悪くなりたくないから(ご飯を食べに行くのが目的の第一ではないものね)、楽しくなるためには適当に絡んでテンション上げるしかない。

幸い同年代ほとんどだったし、適当に飲んで適当に絡む、頭空っぽ。

あまりこういう飲み方しないから、これはこれで新鮮。

収穫としては、来た人は名前をほとんど覚えられたこと。

仕事上部署違うとホント関わらないから、顔はわかっても誰さんよ、って人ばっかだったからなー。

あと思い出した、煙草の話。

前に、遊んだ男の人が喫煙者だった。

その人とライブハウスに遊びに行ったことがある。

夜、外で開場待ちしてるときに、「吸ってもいい？」って聞かれた。

私は煙が苦手で、喫煙者に色々思うところがあるから、煙草は嫌いだ。

でも、「吸っていい？」に「やめてください」と言う勇気はない。

だからそのときも、内心いやだなと思いつつ、「いいですよ」と言った。

その人がこちらに好意を持ってることがなんとなく分かった上でのデートだったけど、「この人とはないな」と思った。

その瞬間、彼がライターで煙草に火をつけた。

めちゃくちゃドキッとした。

暗闇で炎がぱっと灯って、それに照らされた横顔、首を傾ける仕草、風除けに添えられた丸まった掌。それにどうしようもなく揺さぶられた。

そんな仕草が好きだとか思ったことはなかったから、ものすごい衝撃だった。

結局付き合わなかったその人の顔や声は忘れたけど、未だにその一瞬だけは鮮明に覚えてる。

それから、男の人の煙草仕草に注目するようになった。

でも、やっぱり煙草は嫌いだから基本禁煙席にしが座らないし、飲み会で吸ってる人を見てもそんなにいいなと思える人がいない。

あの「ドキッ」は幻か？

あの人とには当時割といい感情を持ってたから？と思ってた。

でもこの前わかった。

何が足りなかったのかって、色気だ。

飲み会のメンバーで1人だけ煙草吸ってたのだけど、彼をニコさんとする(煙草だから)。

ニコさんと私は別テーブルで、端と端の対角線の位置に座ってたから、ちょうど彼が吸っているのが目に入ってきた。

ドキッとした。

火をつける仕草じゃないけど、吸ってるのがめちゃくちゃセクシー。

もう、煙草がはまりすぎてた。

別の人はそれ見て「ヤンキーだ」って言ったから、もう一度見たら確かに見た目もチャラいし、そうだった。

でも、彼にはDQNのいやらしさとか不快感を覚えさせるようなことがなかった。

ただ煙草が似合いすぎてて、フェロモンまき散らし状態。

イケメンとか思ったことなかったけど、実は顔きれい？とすら思うほど、煙草くわえたり肘ついて煙草手に持ってるのが画になりすぎ。

で、性格含めて絶対好きにはならないタイプだけど、この人にちゅーされたら気持ちいいかなって思った。

この思考は彼氏にの群青さん(青が好きだから)によると浮気(ただし言わなきゃ分からないし、許される範囲)らしい。私に浮気願望はない。

でもニコさんキス魔だし、ちゅーされないかなーとか、えっちいことうまそうだなとか、舌と手が良さそうとか考えてた。

こういうこと誰かに対して思ったのって初めてで、ちょっと困る。

私は群青さんとたぶん結婚するし、一生群青さんだけでいいと思ってるくらい誰よりも好きだし、仲もいい。

私は群青さんしか男の人を知らない。

人を好きになれなくて、モテ期みたいなのもいやだった。

だから、群青さんを自分から好きになって、群青さんも好きになってくれて、すごく安心した生活を送ってる。

この安心を手放す気はないけど、たまに、男を1人しか知らないことって損してるじゃ？なんて思うこともある。

昔の私は男に対しての気負いがあって、とにかく固定観念取り払えない頑固者だった。

言い寄ってくるんだから遊べばいーじゃん、とか友人が言ってきても、そんなの誠実じゃないしだめだ！って言い返してた。

それがこんなことになってる。経験が少ないからかな。

今更になって、そんなに怖いもんじゃないから色々経験しておけよ過去の自分、と言いたい。

まぁ安心してるから、恋愛のスリルがほしいだけかもしれないけど。

それほどに私も酔っ払ってて、そこにニコさんの色気むんむんを当てられたからだってことで終わらせたい。

昔話に出てくる、男をひっかける狐のような悪女が持つ色気ってこんなだろうな。

正しいとされることも自分の信念もなにも、全部無意識に凌駕しちゃう。

本人が意識したら、本当に人を騙したりできるんだろうなー。